« 中国人民元の維持は世界の時限爆弾 | トップページ | 医師の名義貸し問題は単純ではない »

2003.09.02

大型トラック速度抑制装置規制の薄気味悪さ

 社会の話題としてはすでに織り込み済みだが、ちょうど9月1日から実施されということで、大型トラックの速度抑制装置義務付けについて産経新聞社説が触れていた。産経新聞社説は政治だの国際だのを論じなければ、なかなか繊細な社説を書くようになったと思う。
 主張は単純ではないため読みづらい。社説なので初段にまとめを述べる必要があるのだが、それ自体は曖昧だ。


スピードオーバーが原因で多発する追突事故の防止が主な狙いである。と同時にトラック中心から鉄道や船舶が一体となる新たな物流体系確立への追い風になる好機と受け止めたい。

 曖昧なのはしかたないだろう。好意的に読み込むなら、この措置が狙い通りに機能しないということを示唆している。そして重点を物流体系に置いているのだが、確かにそう考えざるをえない。
 話を原点戻して、なぜこんな規制ができたかだが、表面的には、高速道路の死亡事故の約23%が大型トラック、その約半数は法定速度80キロを越えた追突事故だったからだ。考えないで読むと、いかにも数字の裏が取れているようだが、そうか?まず、法定速度80キロを守れば追突事故の惨事が減少するということは疑わしい。仮にそれを鵜呑みにしても、全体の高速道路死亡事故の10%にしかならない。
 警察の無秩序なネズミ取りに翻弄される市民としてみると、今回の措置のウラは、警察が規制をやっても利益が上がらないことの言い訳のように思える。おそらく今回の規制では、現状を起点として大型トラックが全て80キロで走った場合の交通状態についてきちんとシミュレーションなどしていないのではないか。つまり、行き当たりばったりの規制だろう。
 私が薄気味悪く感じるのは、官僚が遵法をかざして構造的な解決を迫ることだ。市民社会を向上させるのは遵法ではなく、実態と構造的かつ段階を踏んだ解決案だ。
 産経新聞社説の主張では端から物流への影響を見ている。そのように論じるほうが実際的だ。結論も一見単純になる。

 中小の運輸会社には深刻な事態となろう。しかしこれを物流全体を見直す契機としたい。

 意図的に繊細に書いたのだろうと思うが、物流という観点に立つとき問題なのは、「中小の運輸会社」だ。現状のトラック物流はすでに奇妙なほど細分化した中小の運輸会社に頼っている。露骨にいえば、闇のマーケットに近づくことでマージンを搾取するシステムが確立している。そして、その闇は結局のところ、現状の社会の闇を吸い取る形で社会構造に寄与している。簡単にいえば、男一人トラックの運転手で人生が立て直せる。
 そう見ていけば、この規制は、結果としてこの闇のマーケットの構造をさらに悪化させることになるだろう。幸い規制は段階的に導入されるようなので、この闇のマーケット(トラック業界の末端)の構造変化に気を付けていたい。

追記

SPA10/7「大型トラック90キロスピードリミッター導入は一般ドライバーに吉か凶か!?」が面白かった。1か月後に走ってみた話だ。リミッターがほんとに効いているのか疑問ありそうだ。一般ドライバーにはひやひやものだが、90キロで追い越しが増えるのではないかと予想している。下道をがんがん走るのでは、とも。そのあたりも気にしておこう。

|

« 中国人民元の維持は世界の時限爆弾 | トップページ | 医師の名義貸し問題は単純ではない »

「社会」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。一年経っても大型車による事故減りませんね。むしろ増えている様に感じます。90キロ制限は逆効果だったとは云えないかもしれませんが効果は殆ど無いのでしょう。事業者それも大元の発注者まで遡って責任を重くしなければならないのではないでしょうか。(管理が行き届いていない会社に発注した責任)事業者のゴミ問題と同じで最終処理まで責任を持つという事。何らかの対策を望みます。

投稿: hasenka | 2004.09.03 11:17

今日の早朝、痛ましい追突事故が阪神高速でありましたね。大型車の速度規制は役たたず、実際10トンを超える大型が一般国道で未明から早朝は100キロ以上で乗用車を抜かしています。乗用車から見れば走る鋼鉄の凶器にしか写りませんね。国道でも100キロオーバーしているのだから高速では尚更複数の車を巻き添えになるのは当たり前。中小の運送会社が大半を占めているので労務管理は厳しく時間に追われ睡眠不足でスピード出さないと間に合わないと悪条件の職業です。また整備に出すところも中小の整備業者が多いので「お願いよー」の一言で電子リミッターを解除するのはいとも簡単。簡単に解除出来ないシステム作りとトラックに居眠り防止装置を装着する方を先ではないでしょうか?そしてハードだけでなくソフトの面でも運転手に優しい労働環境を与えるべき、きっと地球にもやさしいと思う。排ガスは80キロを越えると凄い排出量になる。あと顧客にも問題有り、余裕をもって運送を依頼すべし、急がせるから事故がふえる。国民的な課題ですね。

投稿: 早朝ドライブ大好き | 2005.11.13 23:06

はじめまして、私は良く高速を利用するのですが、最近は大型トラック等が規則正しく走っている様でリミッターの影響は概ね好い方に出てると思います。一昔前は120K超位のスピードで追い越し車線を飛ばして行く大型車両があったものですが、
巻き起こす風と轟音と振動であぶないし、物凄い迷惑でした。何よりあのスピードであれだけの重量の車両が事故など起したら大事故に成るはずです。それが今は殆どの大型車が一列に並んで、、本当にマナーが良くなりました。ただ少々問題は、坂道などで特に遅いトラックが居たりすると、それを追い越すトラックが追い越しに時間が掛かって、道を塞いでしまう事が在りますがそれ位を我慢すれば、高速道路は以前よりかなり安全に安心して運転できるように成ったと思います。

投稿: TOORU | 2006.10.30 19:36

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 大型トラック速度抑制装置規制の薄気味悪さ:

« 中国人民元の維持は世界の時限爆弾 | トップページ | 医師の名義貸し問題は単純ではない »