薬剤師の社会的な重要性は市販薬についてではない
今朝の朝日新聞社説「薬の売り方――薬剤師を生かすには」は、問題のポイントがずれまくっていて困惑した。そこで薬剤師について問題とされているのは、ドン・キホーテがテレビ電話を使った医薬品販売しようとしたところ、厚生労働省や東京都の規制によっての中止に追い込れた点だ。
朝日新聞の主張はこの規制が間違っているといいたいのか文章が下手くそなのでいま一つわからないが、方向としてはそういうことらしい。
政府は、どういう薬を売れるようにするか、今年中にまとめることにしている。新たに浮上した『テレビ電話問題』についても、前向きに検討してもらいたい。
この社説を読んだときの率直な印象は「バカだな」である。いきなりバカの壁を作ってしまう私にも問題があるので、説明しなくてはならない気持ちになる。
朝日新聞社説が壁の向こうに見えたのは、「OTC(市販薬)と薬剤全体」をごっちゃにしていたためだ。多少なり薬学の知識のある人間なら、OTCなど薬ではないくらいのことは知っている。もちろん、そう言ってしまえば不正確きわまりないし、OTCでも重篤な副作用が発生することがある。とはいえ、おおざっぱにいえば、OTCは効かない。では、OTCの市場はどうなっているか、そしてその市場ではどういう利権が働いているのかを、ジャーナリズムは検証しなくてはいけない。
薬剤師の問題については、もっと問題の根が深い。朝日新聞のようにのんきなことを言って笑いを取っていてもしかたない。
薬との付き合い方は難しい。地域密着型の薬局・薬店には、普段から気軽に相談でき、時間外でも無理を聞いてもらえるという良さがあることも忘れてはならない。目指すべきは、薬剤師がもっと身近で頼りにされる存在になることだろう。
冗談だろうか。朝日新聞は薬剤師の仕事をまったく理解していないのではないか。
日本の薬剤の状況において早急の課題は、代替調剤制度(参照)の導入だ。細かい問題点はあるが医者は薬を一般名で処方できなくてはいけない。なぜそれができなのかという問題の根ははっきりしているが、この社会問題を根治することはむずかしい。であれば、市民はなにをすべきかといと、薬剤について自分をまもるための最低限の知識をもつべきなのだ。残念なことにそのガイドラインは見あたらない。
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