イラク人統治を急いで進めても解決にはならない
イラクのシーア派が爆弾テロを受け、イラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)の指導者ハキムを筆頭に100人近い犠牲者が出た。シーア派に敵対する勢力であることは間違いないが、親米的なハキムへの反発と見れば、先日の国連事務所テロと同じく反米テロとも考えられる。
先日の国連事務所へのテロはイランのシーア派によるものではないかと私は推理した。だとすると今回のテロの説明は多少難しくなる。事態の推移を見ていきたい。
一点書き加えたいことは、戦時下でシーア派ナジャフ在住のシーア派指導者サイード・アル・セスタニはイラク国民に、米英軍への抵抗を呼び掛ける宗教令を出したことがある。シーア派が親米ということはなく、フィセイン統治下で主勢力だったスンニ派と対立している。
さて、朝日新聞社説「モスク・テロ――統治を早くイラク人へ」はまたしても悪質な誘導なのかただの間抜けなのか。
ここは米英両国が占領政策の失敗を認め、イラク人による新政府樹立へのプロセスを加速すべきである。このプロセスに並行してイラク人自身の警察や軍を再編し、治安の回復にあたるのが得策だろう。
「んなわけねーだろ」と突っ込みを入れて済む冗談なのだろうか。ちなみに毎日社説も同じようなものだ。
当のイラク国民のなかが割れているのだから、イラク人統治が早急に進むわけがない。むしろ、朝日新聞社説のようなら論者の誘導に図に乗って、米英軍が撤退すれば、イラクは内戦状態になるだろう。
朝日新聞社説のブラックジョークはさておき、問題はなにか。より治安の強化を図るべきだという大筋に加え、イラクの都市民のライフライン整備を急ぐべきだろう。むしろ、復興はいったんあきらめて、代替的な市民生活の可能性を求めるべきではないか。露骨に言えば、テロがイラク国民の敵であることを認識させるようなシカケを都市部に施すことだろう。
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