冷夏でうまい米が急騰する
産経新聞社説「冷夏の影響 便乗値上げに監視の目を」のテーマはよかった。今年は冷夏のため、いわく「十五年度産の早場米の入札取引では、コメの価格は、二-四割以上高騰している銘柄もある。」とのこと。
生活者の実感としてもこの問題の深刻さが感じられるようになってきている。現状、報道機関からの詳細なニュースを聞いたことはないのだが、大手卸業者は個別に農家をしらみつぶしに回ってうまい米の買いあさりをやっているようだ。
問題を少し整理しておくと、ようは冷夏で米不足になる、ということではない。不作は不作だが、十年前のコメの不作と違い、ゲロまずい政府備蓄米が年間消費量の二割もある。だから米がなくなることはない。食料不足に悩む世界の大半の状況を思えば、米なんか食えりゃいいだろうとなるのかもしれない。問題は、銘柄米の急騰だ。
産経新聞の結論はというと、ポイントがずれている。
政府がやるべきことは、まず、コメの買い占めや便乗値上げに目を光らせることだ。こういうときこそ九千人近くもいる食糧事務所員を、実需でないコメの値上がりの監視に投入すべきだろう。
産経新聞社説は勘違いしているようだが、銘柄米の急騰自体は便乗値上げとは違う。正常の市場メカニズムの一端だ。
こう考えるべきかもしれない。うまい米を食いたいと思えば、高くてもしかたがない、と。通販生活やスキップなどうまい米を市場価格より高く売る通販業が人気だ。農業というのも才覚さえあれば、けっこういい商売になってきているとも言える。
それはそれでしかたないのだろう。ただ、すでに旧来の意味での農業政策は転換したほうがいいようにも思える。それでも、実際国家が米の備蓄を減らせば、日本人はまたパニックになってしまうという国民なのだ。
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