2019.07.15

環境的ヴィーガンは、シカやイノシシを食べてもいいか?

 「環境的ヴィーガン」という言葉はこなれていないが、ヴィーガン(菜食主義)にもいろいろあるらしく、①栄養摂取の点で動物性タンパク質を摂取しない食餌的ヴィーガン、②動物愛護の観点から肉食のみならず革製品など動物製品も否定する道徳的ヴィーガン、③地球環境保護の視点から、食物効率が悪く、畜産業としての環境への悪影響から肉食を否定する環境的ヴィーガン、といった分類ができるようだ。
 そこで、環境的ヴィーガンという立場からすると、日本の場合、増えすぎて自然環境を破壊しているシカやイノシシについては、一定の手順で、環境を守るという点から、これらを殺傷し、食べてもいいんじゃないだろうかと、思った。どうなのだろうか?
 シカやイノシシは増えすぎて日本の自然環境を破壊する原因となっており、すでに環境庁が取り組み、捕獲が進んでいる。当初の目標が達成されるか、見通しはよくわからないが、全体としては、イノシシやシカは捕獲され、減少傾向にある。
 別の言い方をすれば、捕獲が制度化されつつある。ということは、イノシシやシカの死体が積み上げられている現状があるので、これらを同じく組織的に活用してもよいだろう。食肉も含めてである。実際、農水省のほうでもそうした対応に取り組んでいるようだ。とはいえ、日常生活でイノシシやシカの肉を目にすることはあまりないように思う。私も先日、フレンチで鹿肉のステーキを食べて驚いたほうだ。
 いずれにせよ、捕獲されたイノシシやシカを食品や革製品などに活用していく産業の回路を盛り立てていけばいいのではないかと考えたのだが、ネットを見ていると、そう簡単でもないという話も見かけた。散弾で欝った肉には食肉に向かないらしい、その他、食肉という観点では、それなりに整備された状態でないと難しいということだ。ではどうするかということで、いっそ、シカ牧場を作ったらどうかという意見を見かけた。牧場といっても一種の放牧に近いものにするらしい。
 実現についての技術的な部分がわからないのだが、奇妙な印象は受けた。2つ疑問が浮かぶ。まず、放牧とはいえ、一種の家畜化なので、すると、そもそも家畜ではないのか。それで、家畜がOKだというなら、現存の食肉用の家畜と本質的に変わらないのではないか。もう一点は、放牧とはいえ、おそらくシカやイノシシの生息域全体の自然管理になるのではないか。そうなると、それはそもそも「自然」なんだろうか?
 以上、まるでネタ話のようなことになってしまったが、もう少し視野を広げると、人口縮小をしている日本、しかも高齢層が増える状態なら、国土の観点でも問題になりそうだ。人口は中核都市に集約しないといけなくなる。当然、放置される国土が出て来る。イノシシやシカ、さらにはクマもそうだろうか、彼らはそこに残される。こうした生物とその自然をどう管理していくのだろうか? 考えてみると、明確なイメージが結ばないのである。
 話をヴィーガンに戻すなら、そもそも「環境的ヴィーガン」自体にある種の矛盾があるか、そもそもヴィーガン以外の人々も環境という視点では濃淡がある程度、同本質なのかもしれない。つまり、市民全体が食と環境のバランスを考慮しなくてはいけないのだろう。
 私は基本的に自由貿易主義者として生きてた。デヴィッド・リカードの原則でいいだろうと。しかし、国土を国民が管理するということは、森林の管理や畜産の管理が必然に含まれ、それらは自由貿易の限界を形成するのだろうなと思うようになった。
 話はそれだけ。オチもないのだが、来週日曜の参院選で、こうした森林の管理や畜産の管理というのは、候補者たちにどう捉えられているのかは、気になってきた。

 

 

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2019.07.14

嘘情報をどうやって根絶するか

 嘘情報というのをどうやって根絶したらいいものか。と、考えて無理なんじゃないかという気にはなる。で、終わりかというと、そうもいかない。もにょるわけだが、もにょっていてもしかたないので、一つ具体的に考えてみる。
 例えば、こんなグラフをツイッターで見かけた。結論から先に言うことになるが、これは嘘くさいので、これがベタにコピペされる危険を避けるために、画像にでっかく手書きでクエスチョン・マークを付けておいた。これがまったくの嘘だと確認したかったのだが、完全に嘘とまではできなかった。
 グラフの意味は、年齢変化による、男性と女性の性欲の差というものだ。意味するところは、30歳までは男性ほうが性欲が強いが、以降は50歳までは女性のほうが性欲が強いというのだ。

Fakechart 

 最初にこれを見かけたときの印象は、「なんだこれ?」というものだった。なにが変かといえば、縦軸に暗示されている性欲の強さに単位指標がない。そもそもグラフになっていない。というか、グラフにもなっていないものがなぜ流布さているのか?
 次に思ったのは、当然だが、「出典はなんだ?」である。まず、こうは言える。

出典が明記されていない情報はそれ自体が疑わしい。

 どこかに出典がありそうなので、「出典はなんだ?」とツイートしたら、わかった。『話を聞かない男、地図が読めない女』 である。2000年に出て話題になったおり、私も一読したはずなのだが、ざっと読んで放り出した。典型的なニセ科学だと思ったからである。
 出典が気になって改めて同書を見ると、このグラフと同じグラフに「(出典:ピーズ国際研究所)」と明記さている。この研究所についてはすぐにわかった。同書の著者である。アラン ピーズとバーバラ ピーズの私的な研究機関である。
 さらに気になったので、原典の”Why Men Don't Listen and Women Can't Read Maps”も確認したら、同グラフのページには、出典の明記すらなかった。翻訳本の「(出典:ピーズ国際研究所)」は日本版の編集で追加したものだろう。
 原典の該当部分を読んでみたのだが、やはり典拠となる論文はわからなかった。性ホルモン・レベルの推移などから合成したピーズ国際研究所の独自研究ではないだろうか。ついで別途そうした医学論文があるのかざっとあたってみたのだが、同グラフを示唆するような研究はなかった。そもそも「性欲の強さ」を男女総合する指標が学問的に定義できるかすら疑わしい。
 それと、原典を読んでみて思ったのだが、このグラフは、研究結果があってグラフになりそれを読み解く、というものでは、どうやらなくて、30歳以降から50歳までは女性の性欲が高いという説明を視覚化するための解説図っぽい。そもそも研究結果ではないっぽい。
 と、いうことなのだが、最終的にこの図が全面的に嘘だとまでは、現状言い切れない。ただ、『話を聞かない男、地図が読めない女』 は概ね、ニセ科学の典型と言ってもよさそうではある。
 さて、こういうのをどうしたらいいのだろうか。
 最近もうひとつ似たようなことを思った。
 その話題は、れいの、と言っていいだろう、ケネディ大統領暗殺陰謀論である。最近のNHKの『ダークサイドミステリー「ケネディ暗殺 陰謀論の正体に迫る」』でも扱っていたので、トランプ大統領が2017年10月26日に、ケネディ大統領暗殺事件に関する機密文書の公開を保留を決定して以降の新情報が知りたいと思って、見たのだが、その点では概ね、スカだった。
 番組としては、陰謀論全体を終わりにできたらよかったのだろう。そのせいか、1993年の"Case Closed: Lee Harvey Oswald and the Assassination of JFK"の著者ジェラルド・ポスナーを出して、彼の主張にそって、オズワルド単独犯行説以外を陰謀論という主張を強調していた。
 まあ、そうできたらよいのだが、ポスナー本以降に明らかになった、CIAダラス支局長J・ウォルトン・ムーアが事件以前にオズワルドと接触があったというあたりの事実は、番組では指摘されたのに、濁されてしまった。ので、陰謀論は根絶されない。
 そもそも陰謀論ならすべて誤りかというと、イラン・コントラ事件のような事例もあり、陰謀論というのも個別に見ていかなくてはならないのだろう。
 陰謀論とニセ科学は違うが、ニセ科学についても、従来は、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの交配などはニセ科学にされてきたが、今ではほぼ定説だろう。
 エピジェネティクス研究の進展で獲得形質「のようなもの」が世代を超えていくことも解明されつつあるが、これがニセ科学の典型とされてきたルイセンコ学説とどこで一線を引くのか、悲しいかな僕などにはわからない。
 そういえば、昔、友人が言ってたが、統計学と占星術は同型かもしれない。統計と占いも同型と言えそうにも思う。まあ、それも極論すぎるのだろうが。
 まあ、とりえずもう一つ言えそうなことがある。

疑わしい情報が否定できそうなら、否定の声をネットに上げるべきだろう。

 少なくとも、男女の性欲さのグラフのようなものがツイッターとかでリツイートされるようなのはこれで終わりになってほしい。

 

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