2025.01.26

CIAがCOVID-19の起源を発表したが…

 2025年1月25日、CIAはCOVID-19の起源に関する新たな分析を発表し、研究所漏洩説を支持する立場を示した。この発表は、新たにCIA長官に就任したジョン・ラトクリフのリーダーシップの下で行われた。ラトクリフは、2025年1月15日の上院公聴会を経て正式にCIA長官に任命され、長年研究所漏洩説を支持してきた人物であり、想定された事態でもある。彼は公聴会で、「アメリカは史上最も困難な安全保障環境に直面している」と述べ、CIAがより積極的な役割を果たすべきだと強調した。この評価は、ジョー・バイデン前大統領の国家安全保障顧問ジェイク・サリバンが在任中に指示した調査に基づいている。CIAは、COVID-19の起源について「研究関連の起源」が「自然起源」よりも可能性が高いと評価したが、しかし、その信頼度は「低い」とされている。新たな証拠がなく、既存の情報を再評価した結果である。CIAは今後も、新たな情報が得られれば評価を更新するとしている。

研究所漏洩説の信頼度は低い
 CIAがCOVID-19の起源に関する評価を変更し、研究所漏洩説を支持する新たな分析を発表したことは、国際社会に大きな衝撃を与えた。しかし、その評価は「低い信頼度」であり、新たな情報が得られれば変更される可能性があるというものだ。この評価は、ジョー・バイデン前政権の国家安全保障顧問ジェイク・サリバンの指示により行われたものである。CIAは長年、COVID-19の起源が研究所か武漢の野生動物市場かの結論を出すための十分な情報を持っていないとしていたが、今回の発表はその姿勢を一転させるものとなった。
 CIAの内部では、どのような議論が行われていたのか? 元CIA長官のビル・バーンズは、COVID-19の起源について「不可知論的」な立場を取っていたが、新たな評価を行うよう指示していた。CIAの分析官チームは、既存の情報を再評価し、研究所漏洩説を支持する結論に至った。しかし、その信頼度が低いことから、この評価が国際社会に与える影響は限定的かもしれない。特に、新たな証拠がなく、既存の情報を再評価した結果であることが強調されている。武漢ウイルス研究所の外観や、2021年にWHO調査団が訪問した際の様子が具体的に描写されており、研究所のセキュリティ担当者が警備している様子も記載されている。研究所の厳重な管理体制が浮き彫りになっており、CIAは今後も、新たな情報が得られれば評価を更新するとしているが、現時点では「低い信頼度」の評価に留まっている。

バイデン政権の問題なのか
 新たにCIA長官に就任したジョン・ラトクリフは、バイデン政権が研究所漏洩説に関する情報を意図的に抑圧したと非難している。ラトクリフは長年、研究所漏洩説を支持しており、CIAがより積極的な立場を取るべきだと主張してきた。2023年3月には、ブライトバートとのインタビューで、バイデン政権が研究所漏洩説に関する情報を隠蔽していると指摘し、CIAが十分な情報を持っているにもかかわらず、結論を出さないことを批判した。
 ラトクリフのリーダーシップの下、CIAはこれまでの「傍観者」的な姿勢から一転、積極的に情報を発信する組織へと変貌を遂げつつある。彼は、CIAが「傍観者」ではなく、積極的に立場を表明すべきだと訴えており、今回の発表はその一環と見られる。しかし、ラトクリフの主張が政治的な意図を持っているのではないかとの疑念は払拭できていない。CIAの評価が「低い信頼度」であることから、この発表が単なる政治的パフォーマンスに過ぎないとの見方もある。

COVID-19起源解明の鍵は中国
 COVID-19の起源解明をめぐり、WHOは中国に対してデータ共有を再度呼びかけている。CIAの新たな評価が発表された今、中国の協力が不可欠とされる中、国際社会はどのように対応するのだろうか? WHOは2021年に武漢の研究所や野生動物市場を調査したが、その際に得られた情報は限定的だった。その後も、中国はCOVID-19の起源に関するデータを十分に提供しておらず、国際社会からの批判が高まっている。
 CIAの新たな評価は、研究所漏洩説を支持するものであり、中国に対する圧力を強める意図があるのかもしれない。しかし、中国がデータを公開しない背景には、国際的な批判を避けたいという思惑があり、これがCOVID-19の起源を解明するための最大の障壁である。中国からの情報提供が不可欠であるということを現実的に考えるなら、無理、という結論しか出ない。
 今回のCIA発表では、2021年にWHO調査団が武漢の研究所を訪問した際、研究所のセキュリティ担当者が警備している様子も描写され、WHO調査団が得られた情報が限定的だったことが指摘されている。中国はデータを十分に提供しなかった。今後も提示することはないだろう。政治的な解明としては、ここがデッド・エンドであろう。
 

 

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JKF機密文書の公開

 ドナルド・トランプ大統領は、2025年1月23日、ジョン・F・ケネディ(JFK)元大統領の暗殺に関する未公開の機密文書を公開する大統領令に署名した。 この大統領令では、JFK暗殺に関する文書を15日以内に公開する計画を策定するよう、司法省と国家情報長官室に指示をする。この発表は、予想されたことではあるが、60年以上にわたって米国社会を悩ませてきたこの事件の真相に再び注目を集めることになった。JFK暗殺は、米国史上最も謎に包まれた事件の一つであり、未だに多くの陰謀論が存在している。
 私はこの事件をリアルタイムで知る最後の世代かもしれないし、当時の中二病に落合信彦『二〇三九年の真実』は必読書でもあった。当の事件だが、1963年11月22日、テキサス州ダラスのデイリー・プラザで、ジョン・F・ケネディ大統領が暗殺されたことだ。公式の調査によれば、元海兵隊員でソ連に亡命した経歴を持つリー・ハーヴェイ・オズワルドが単独で犯行に及んだとされている。この事件が陰謀論を誘発したのは、事件からわずか2日後、オズワルドはジャック・ルビーという男に射殺され、真相を語る機会を失ったことだ。事件は一気にさらに謎めいたものとなった。
 1964年に発表されたウォーレン委員会の報告書は、オズワルドが単独で犯行に及んだと結論づけたが、この報告書に対する疑問は根強く残っている。多くの人々が、CIAやマフィア、あるいはキューバのカストロ政権などが事件に関与していたのではないかと疑っている。2022年の世論調査では、約半数の米国人がJFK暗殺には何らかの陰謀が存在したと信じていることが明らかになったが、後日解明された新事実やそもそも非公開文書が存在することが陰謀論の発生源でもある。つまり、陰謀論の大きな部分が非公開文書でもある。
 トランプ大統領は、ワシントンD.C.での集会で、JFK暗殺に関する残りの機密文書を公開すると宣言したが、この発表は、1992年に制定された「JFK暗殺記録収集法」に基づくものとなる。同法は、JFK暗殺に関連するすべての文書を公開することを目的としており、これまでに数百万ページに及ぶ文書が公開されてきたが、一部の文書は未だに機密扱いとなっている。公開される文書には、CIAやFBIの情報活動に関する詳細が含まれており、事件の真相を解明する手がかりとなる可能性がある。しかし、専門家たちは、これらの文書は陰謀の証拠というよりも、むしろ情報機関の失敗や不手際を暴露する可能性が高いと指摘している。
 公開にはトランプ政権としての経緯もある。第一期政権でもトランプ大統領は、2017年10月にJFK暗殺関連の機密文書の一部を公開する大統領令に署名していた。彼は「透明性」を強調し、国民が歴史の真実を知る権利があると述べていたが、しかしその時点では一部の文書は機密扱いのまま残され、全面公開には至らなかった。この非公開の決定には、国家安全保障上の懸念が大きく影響していたとされていた。CIAやFBIなどの情報機関は、一部の文書が公開されると、現在も活動中の情報源や作戦に悪影響を及ぼす可能性があると警告していたのである。特に、冷戦時代の情報活動や、現在も続く国際的な諜報活動に関連する機密情報が含まれている可能性があったとされた。トランプはこれらの懸念を受け入れ、当時は文書の全面公開を見送ってしまった。
 では、なぜトランプ大統領は2025年に至って全面公開を決断したのか。まず、政治的圧力と世論の後押しがある。JFK暗殺は、米国国民にとって未だに大きな関心事であり、多くの人々が真相を知りたがっている。2022年の世論調査では、約半数の米国人がJFK暗殺には何らかの陰謀が存在したと信じている。トランプ大統領は、こうした世論の後押しを受け、自身の政治的基盤を強化するために文書公開を決断したと見られる。彼は大統領選挙戦時も支持層に対して「透明性」と「真実の追求」をアピールすることを重視してきたが、この文書公開は、彼の支持者にとっては「隠された真実」を明らかにするための重要なステップと見なされるだろう。
 次に、国家安全保障上の懸念が軽減したことがあげられる。第一期大統領令期間中には、国家安全保障上の懸念が文書公開の大きな障壁となっていた。しかし、2025年までにこれらの懸念が軽減されたとも見られる。ウクライナ戦争が新時代の冷戦構造の様相を見せるなか、本来の冷戦時代の情報活動に関連する機密情報が、現代の情報活動に直接的な影響を及ぼす可能性は低くなっている。情報機関側も、一部の文書を編集・修正することで、機密情報を保護しつつ公開することが可能になったと判断した可能性がある。
 さて、トランプが公開を約束した文書は、JFK暗殺の真相を解明する鍵となるのか。専門家たちは、これらの文書が陰謀の証拠というよりも、むしろ情報機関の失敗や不手際を暴露する可能性が高いと指摘しているようだ。
 既存の単独犯説を唱える調査ジャーナリストのジェラルド・ポズナー氏は、CIAがオズワルドを危険人物と認識していたにもかかわらず、FBIに警告を発しなかった可能性があると指摘している。彼は、公開される文書がCIAの不手際を暴露する可能性があるが、陰謀の証拠となる「決定的な証拠」は含まれていないと予想している。他方、JFK暗殺に関するブログ「JFKFacts」の編集者であり、単独犯行説を否定するジェファーソン・モーリー氏は、未公開の文書が単独犯行説を覆す情報を含んでいる可能性があると期待している。彼は、CIAが「AMSPELL」というコードネームの秘密作戦を行い、オズワルドが関与していた「キューバ公正委員会」を標的にしていたことを指摘している。これらの文書が公開されれば、CIAが1970年代の議会調査を妨害していたことが明らかになるかもしれないと主張している。
 どうなるだろうか? 私も長年この問題を見続けてきたが、陰謀論者が期待するほど華々しい物語にはならないのではないかと思うが、当時のCAIの各種暗躍やドジなどは明るみに出てくるのではないかと思う。それでも、これで陰謀論に終止符を打つこともないだろうと思う。陰謀論というのはそういうものだからだ。

 

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